2015年11月02日

はじめに(2)

 私が沖縄へ税理士事務所を移転した2つ目の理由は、1番目の農業への想いに比べるとぐっと世俗的になりますが、沖縄は税理士業のマーケットとして今後有望であると思ったからです。

 東京では今はどの士業でも飽和状態であり、特に当時外資系の金融機関に勤務税理士としてサラリーマンをしていた私などは、仕事を通じて将来の関与先候補と知り合う機会もなく、いつかは開業!と掛け声ばかりで、具体的にはなんも進展もない日々の状況に悶々としていました。
沖縄に移転して7年目の現在は、名護の中心部に小さいながらも事務所を所有し、税理士会の調査(第6回税理士実態調査報告書)を見る限りでは平均的な収入の事務所に近付きつつあります。

 もちろんここに至るまではつらい思い、思い違い、トラブル等々数えきれない体験をしました。実際、本土からの移住者のうち2年以上沖縄に留まる方は1割程度と言われています(最初の1年は、周りも本人も物珍しさでそこそこ生活できるのだと思います。移住者が口をそろえておっしゃるのは、問題は2年目だということです。周りも自分も存在が日常になってしまい、生活に空虚感が生まれるのだと思います。仕事がなければ(若しくは働く必要がない)、普通ならこの空虚感に耐えることが出来るのは2週間が限度でしょう。

 「沖縄に会社を作る」のテーマのこころのハードルが上がってしまったでしょうか。ご安心ください。沖縄で会社を作る=移住すること、では必ずしもない、いや、これから私がお伝えしたいことは、移住せずに沖縄に会社を作り、生活の変化を最小限にして、みなさんの将来設計と現状のビジネスを楽しくやろう、というのがテーマだからです。
(続く)


  

2015年10月02日

はじめに(1)

「沖縄に会社を作りませんか」というご提案をするに先立って、私が沖縄へ税理士事務所を移転した理由(この質問は、私の事務所に寄せられる税金に関する質問より断然多いです)をご紹介しましょう。皆様が沖縄に会社を持つ、移住する、働く等々について、何かしらの具体的なイメージを持って頂ければと思います。

私が東京から沖縄へ税理士事務所を移転して、7年になろうとしています。当時、沖縄へ事務所を移転した理由は、2つありました。詳しい経緯はこれから順番にご紹介させてください。

1つ目は、単純に農業がやりたかったということ。さすがに専業で農業を営む自信も経験も勇気もありませんでしたが、ストレスまみれの都会人は、「農」という一文字に、希望や癒しを求めてしまうのです。私も御多分に漏れずにこのケースでした。

もちろん本土(沖縄では、県外、内地と呼んだりします。大和と言う方もおられますが、沖縄ではあまりお勧めしない表現になっているようです)でも税理士業の傍らで農業は可能ですが、東京からの時間距離を考えると沖縄は意外と近かったわけです。例えば、私の東京の拠点がある世田谷区等々力から長野県茅野市(今年の夏休みに避暑に行きました)までは車で4時間以上かかります。渋滞が発生すれば到着時刻はまったく予想できなくなります。一方、私の事務所の所在地である沖縄県名護市までは、6時間も見ておけば余裕をもって到着することが可能です。機内での仕事や読書は、事務所での環境と違うので意外にも捗ったりします。

ところで今現在、沖縄での農業はどうなったかについて最初に書くべきでしょう。結論として、当初の私の農に関する計画は実現していません。事務所のお客様には農家の方も多数おられます。知人や友人にも畑を持っている人は沢山います。なので、環境的には最高に恵まれているといえるでしょう。しかし、何回か農作業にチャレンジしたものの長続きしませんでした。その理由は、沖縄へ事務所を移転した2つ目の理由に関係するのですが、農業のための時間を確保するのが殊の外難しくなってしまったからです。
(続く)